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英語教育

今月の本

A Long Walk to Water Based on a True Story

本書は10歳から12歳の児童を対象にしているが、日本の中学生から大学生まで広く楽しむことができる。英語は平易であり、教科書としても使用可能である。

実際の出来事に基づいたスーダンの子どもたちの物語で、異なる時代を生きる少女と少年の語りが交互に描かれ、最後にその2人の関係が明らかになる。少女は毎日長い距離を歩き、川で水を汲みに行かなければならない。その水は衛生的ではないが、家族が飲めるのはその水しかない。この状況が本書のタイトルの由来となっている。一方、スーダンで勃発した内戦に巻き込まれた11歳の少年は、家族と離れ離れになり、命からがら砂漠やワニのいる川、銃弾を避けて進み、スーダンからエチオピア、そしてケニアの難民キャンプにたどり着く。道中、共に歩いていた多くの人々が命を落とし、少年はなぜ自分だけが生き延びたのかと自問する。難民としての苦しみや悔しさが痛切に伝わり、思わず涙がこぼれ落ちる。しかし、少年はその辛い経験を経て確実に成長していく。

本書の最初のページにはアフリカの地図があり、主人公が歩んだルートが示されている。スーダンの内戦やその地域の人々について知る貴重な機会を提供する良書である。

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